【HIFIMAN HE-R9 レビュー】映像作品鑑賞で実力を発揮するヘッドフォン。しかし8.5万円の価値は無い。

3.5
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筆者環境では以下HIFIMAN HE400seが現役稼働中。
コスパの大変よろしい開放型ヘッドフォンであり、音質面でも申し分ない。

で、この度海外通販にてとんでもない価格で投げ売りされていた同社ヘッドフォンを発見。
思わず何の下調べもせずにポチってしまった次第。
ということで今回はHIFIMAN HE-R9をレビューしていこうと思う。

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HIFIMAN HE-R9 の基本データ

HIFIMAN について

HIFIMANとは中国天津に拠点を置くオーディオメーカーである。
ヘッドフォンからイヤホン、アンプからプレイヤーなどなど、スピーカーを除いた音楽を楽しむ製品を展開している。

コストを度外視した製品づくりをモットーにしているようであり、それでいながら社長のオーディオヲタクの魂が注ぎ込まれた「こだわり」のあるラインナップが揃っている。
とにかくコスパの良さが特徴的なメーカー、という印象。

他の詳細や小ネタについてはHIFIMAN HE400seの記事に記載。

HIFIMAN HE-R9 について

HIFIMAN HE-R9は、2022年9月にリリースされた平面駆動開放型ヘッドフォンである。
ソニーのMDR-R10をリスペクトして作られたと言われる「HE-R10」の下位モデルに当たる。

ナノ粒子コーティングのトポロジー振動板を採用したダイナミックドライバーであり、通常の振動板を使用したヘッドフォンと比較して、より自然で解像度の高い出力が可能になるとのこと。

ワインレッドのドでかいイヤーカップが印象的なデザインであるが、その実カップ自体はかなり軽量、且つ軽く頑丈なスチールフレームによって形成されているので、見た目と釣り合わない取り回し安さがある。

ケーブルは脱着式であり、別売りのバランスケーブルに換装して音質/出力アップを図る事も可能。
最新版のBluetoothモジュール(Bluemini R2R)を装着すれば無線での使用も可能になる。

なお、定価は¥85800~99880となっている。
この変動幅はBluetoothモジュール(Bluemini R2R)の付属有無であり、Bluetoothモジュールが付属していなければ8.5万円、付属していれば10万円、と解釈すれば良い。


ちなみにAmazonでは8.5万円で販売されている。
価格的には有線モデルかとは思うが、商品説明概要に「ワイヤレス通信技術 Bluetooth」と記載がされている。
しかしメーカー型番は「‎HE-R9-wired」なのでBluetoothモジュールは付属していない有線モデルと理解できる。
つまり…なんじゃいな。

さて、本題はここから。
2023年10月末頃より、本機は何故か投げ売りが開始され始めた
その価格、何と1.6万円。定価8.5万と考えれば、投げ売り以外の何者でも無い扱いだ。
ちなみに”日本国外で”投げ売り状態が始まっており、国内での扱いは今も定価通りだ。
日本人の金払いが良いからか、或いは市場とみなされていないのか。。

で、先のブラックフライデーによる海外通販サイトにて、底値1.4万で売られている状況を確認。
乗るしか無いこのビッグウェーブに、と勢いでポチったのが事の顛末である。

HIFIMAN HE-R9 の外観

まずは外箱。
HE400seと同じで色気のない箱。

梱包方法も内容物もHE400seと一緒。
無駄にデカい箱の中身は…

やっぱりケーブルと説明書のみ…。
いや、謎の合格証だ!説明書すら消えやがった!

付属ケーブルは元先3.5mmプラグ。
6.35mmプラグが刺さってるのも共通。
うーん味気ない。

本体。
すごい特徴的なイヤーカップをしている。
ゴールデンカムイに出てきた、盲目だけど物音の反射で位置を把握して襲ってくるオジサンがこんなんつけてたよなって。

ズバッとえぐられている、というか切断されたような形状のカップ。
これは好みが分かれそうだ。

プラスチック感むき出しのプラグ部分。

HE400seにも共通する、角々しいスチール感のあるフレーム。
ヘッドバンドもHE400seと同じものであり、低反発クッションのようなモフ感のあるもの。
というかこれ、まんまHE400seのパーツだわな。
ドライバとイヤーカップを変えての流用か…。
ちなみに装着感については可もなく不可もなし。

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HIFIMAN HE-R9 の良いところ

ふくよかでダイナミックな音質・映像作品との相性の良さ

上述してきた通り、見た目と付属品とアンボックス体験の貧相さからテンションが下がりっぱなしだったわけだが、いざ音を聞いてみると「おぉ?」っとなる個性を感じる。

まず感じるのが残響感だ。
音場は広く臨場感があり、音源に対してかなり奥行き生まれているように感じられる。
高音域は丸めで低音が太いため、上記特徴も相まってかなりダイナミックな印象がある。
開放型ヘッドフォンのような空気感があり、ハウジング内での”こもり”がまるでなく自然な広がりを感じられるのも楽しいポイントだ。

のっぺり低音重視、というわけでもなく、ボーカルを少し前に配置しつつほんのりと強調した印象があるので、低音域がしっかりとベースとして機能し全体のバランスが良くなっているという、少し面白い構成になっているように感じた。

曲調としては以下のようなスローテンポなアコースティック系とやはり相性が良い。
暖色的で深い音色の再現は本機の得意分野と言えるだろう。

また解像度も極めて高く細かい音まで鳴らしてくれるのが楽しい。
ハイレゾ音源では本機をしっかりと楽しむ事ができる一方で、圧縮音源ではガビガビ感を如実に感じることができてしまうため、素直に音楽鑑賞を楽しむことができないという欠点もある。

そしてこの良さが生きるのは、実は音楽ではなく映像作品だったりする。
このヘッドフォンで映像鑑賞をした場合、音場の広さとBGMのダイナミックさ、そしてアクター達のセリフの聴きやすさが素晴らしい塩梅で両立するのだ。
手持ちのイヤホンやヘッドフォン、スピーカーシステムと比較してもぶっちぎりの楽しさと臨場感がある。
これだけで一応買った甲斐はあったかなって。

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HIFIMAN HE-R9 の残念なところ

見た目が変

正直、このデザインはダサい。
赤いカップの輝きはキレイだが、何より形がヤバい。
装着した姿はもっとヤバい。
本当に盲目だけど物音の反射で位置を把握して襲ってくるオジサンのコスプレみたいになる。
イヤーカップの標高も高いので、装着時に頭が横に長くみえてしまうのもまたダサい。
HE400se譲りのヘッドパーツも素っ気なくて残念だ。

付属ケーブルが出力不足

HE400se譲りの付属ケーブルはやはり音量の確保ができていない。
本機は21Ω・91dBとそこまでのスペックを要していながらも、付属ケーブルだとアンプを噛ましても出力の確保が難しい。

バランスケーブルに換装した後は、ボリュームMAX/GAINMAXなんかにせずとも十分な音量を確保することができ、また解像度の向上も見込めている。
本機を利用するのであれば、リケーブルは必須なのかもしれない。

ただし、換装する際には利用するケーブルに関して注意が必要。
聡明な読者様より、以下助言と訂正を頂きましたので引用させていただく。
ご進言ありがとうございます。

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HIFIMAN HE-R9 の総評

映像作品鑑賞で実力を発揮するヘッドフォン。他はヤバい。

正直、8.5万円の価値は無い。1.6万円なら納得。つまり今が適正価格。
音楽鑑賞では価格相応、映像鑑賞では価格以上、という印象。

音は悪くないが、”劇的”な感動は無く、HE400seに繊細さをプラスした程度な印象しか無い。
何よりもオプションや筐体造形がとても8万円のソレではなく、全体的にかなり雑。
もう少しプレミア感があれば或いは、といったところだが、うーん?

なんかこう、また「巷のみんなが考えるHIFIMAN」みたいなHIFIMANのヘッドフォンを買っちゃった、という感じ。
次はもっとこう、SUNDARAとかその辺りのちゃんとしたHIFIMANのヘッドフォンを試してみたいなって。

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